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RyoKajitani

Yokohama,Japan

38.53

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4860

戯れることの非対象性  

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Favorite
Techinique
リトグラフインキを主とする油性木版画(凸版)
Materials
ケント紙・メディウム・水彩・水干絵具・顔料・コピック
Time required
2016年6月
Medium
ケント紙・メディウム・水彩・水干絵具・顔料・コピック
Size
62.5×91.5cm
Presentaion
最初の博士制作。1枚のみ。ep.1/1
Story/ Description
日頃積み重ねてきた何気ない創作活動の中で、顔は私の側からではなく、私の向こうから現れてきました。自然と現れるようになった顔は、随分と長い間、私を静かに見つめていました。10代の私、20代の私は、夜、この顔貌に幾度となく出会いました。ある時、私もまた顔を見ました。その時顔は、私を見ているのではなく私の向こう側を、それも思ったよりもずっと向こうを見つめていることを知ります。私は夢で顔に会いに行きます。顔は泣いているようでした。もう随分長い年月泣きはらして、それから眠るように佇むようになったようで、横たわる顔は砂埃に塗れていました。
顔は巨大で、顔から私の姿は見えていないようでした。顔は私に言うのです。
「あそぼう」
私は色々なことを話しました。趣味のこと、本のこと、この世界のこと。顔は黙ってずっと聞いていましたが、私が話し終わると、巨大な口を動かして、こう言うのです。
「いつも、夢を見ていた。長い夢だ。醒めてもさめやらぬ、長い夢だ。私はずっとここに居たけれど、ここに居ることさえ忘れてしまうような、巨大な夢だった。さみしくて、金魚を飼い始めた。彼は夢を見ないらしくて、泣いたためしが無いんだよ。」
抑揚なくそう言うと、顔は静かになりました。
色々なことをして遊びました。しかし顔の眼はずっと地平線の向こうへ向かったまま、動きません。彼は地平線の向こうに広がる世界を、ずっと見守っているのでした。
顔と過ごす時間、私はかれの巨大な体を眼前にして、触れてみたり見上げてみたりすることが出来ましたが、顔にとっては、私は声だけの存在のようでした。それはすごく非対象な関係でした。巨大な金魚が音もなく私の頭上を通り過ぎる時、顔の眼が微かに動くのを私は見ました。金魚は顔の窪みに潜んだり、ぶつかったりと、それなりに顔と戯れているようでした。しかしその戯れは無目的に近く、無限の空間の中を、ぽっかりした表情で泳ぎ続けるのでした。私は彼を描くことで、あの非対象な戯れの日々を作品に残そうと決めました。
(2016年10月9日)

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